災害時の給水

給水車の代わりとしての活用

地震災害の時には水道管の破損などにより、上水道の給水が止まります
通常の断水であれば各市町村の給水車(2m3車)での配水でまかなえますが、地震災害時には広域で断水が発生するため給水車の不足が予想されます
とはいえ1台800万円程の給水車を何台も購入することはできません
そのような時に受水槽を給水車の代わりに使用できれば、多量の飲料水が確保でき運ぶ時間も短縮されます
受水槽施設はどこの市町村でも、特に人口の蜜集している場所に多く設置されていますので、有効利用ができると強力な味方になるでしょう

主な施設の受水槽の有効容量
1.  5m3 ~  20m3 → 小学校
2.  5m3 ~  15m3 → 中学校
3. 20m3 ~  40m3 → 高等学校
4. 20m3 ~  40m3 → 大学
5.  9m3 ~  50m3 → マンション
6.  9m3 ~  30m3 → 市役所などの公共施設
7.100m3 ~ 300m3 → 総合病院
8.100m3 ~ 300m3 → ゴルフ場

上記の施設に給水車(2m3車)で水を運んだ場合、どれだけの時間がかかるのか考えてみて下さい
総合病院の300m3は節水しても7日間分しかありません
水が無いと透析患者は透析(1人の患者に200L使用)ができません
地震災害時に給水車(2m3車)で避難所や総合病院にどれだけの水が運べますか?
水は避難所だけでの集中管理ではなく、ビルやマンション等の貯水槽を活用することによって分散管理する方が良いのではないでしょうか

 簡易専用水道施設

簡易専用水道施設に専用給水栓が4箇所設置してあります


 水槽内部の写真 

水槽内部の水は消毒されています。消毒効果が薄れ雑菌が繁殖するので点検用マンホールよりバケツ等で水を汲み出さないで下さい
専用給水栓か水抜き管より水を採りだしてください
デジタルカメラでストロボ撮影すると、水槽内の水が綺麗だと薄いブルーの色に写ります
水槽内に鉄錆が多かったり 水槽内が汚れていたりすると薄い茶色の水に写ります
水質が劣化すると白く濁ります
色で水槽内部の状態がわかります

 参考 

水道水には通常遊離残留塩素が0.1mg/L以上含まれています
Oー157が発生してからは、末端給水栓で遊離残留塩素が0.2mg/L以上含まれるようになりました
水源に近い住宅では水道水中の遊離残留塩素が0.2mg/Lから0.7mg/L検出されるようになりました

受水槽内部の写真です



ボールタップから綺麗な水道水が供給されています



受水槽の底部にあるのは水抜き穴です
側面にあるのは給水管です



 地震災害時の専用給水栓の設置例 

例1 水抜き配管に災害用給水蛇口を設置した事例
災害用給水蛇口は脱着方式で地震災害時のみ装着します 専用給水栓が6箇所設置してあります

例2 水抜き配管を水抜き管と給水蛇口との2つに分けた事例
既存の受水槽に多く見られる配管工事例で工事も簡単です


例3 水槽側面に給水蛇口を設置した事例 新しく設置した受水槽によく見られます


緊急遮断弁が設置してあります(震度4で遮断) 災害時の専用給水栓があります


 貯水槽の有効性 

仮に20m3の水が入った受水槽があったとするとその効果は

(1)2m3の給水車が10台分
(2)1000人に7日間の間2.8リットルの水を給水できます
(3)水をペットボトルで購入した場合は1リットルを100円として 計算すると20m3では
   200万円となります

水道水ならば10m3は1000円ほどです。1リットルに換算すると 0.1円となります
水をペットボトルで購入した場合の1000分の1の費用ですみます
受水槽内の水道水は毎日循環しています
(4)水道水は水質検査50項目を検査した安全な水です
地震災害時には衛生的な水をいかに多く蓄えることができるかが問題となります
緊急時のトイレの流し水や洗濯用の水は井戸水やプール水及び河川水で十分です 大切に利用しましょう

 災害対応型の防火水槽兼務貯水槽 

一般的に水道本管に設置されている防火水槽兼務型貯水槽の水道水の利用目的は
 1.消火用の防火水槽
 2.飲料用の貯水槽
 3.雑用の貯水槽
と飲料用の貯水槽以外に使用目的があるため飲料用として残る可能性が低いと思われます
いざ火災が発生すると1軒消火するために10m3から20m3の水道水が使用されます
100m3の貯水槽であれば5軒から10軒の家の消火で水が無くなります
もしも火災が発生しなければ飲料用の貯水槽として使用できます

簡易専用水道施設や小規模貯水槽水道施設は飲料用の専用貯水槽なので消火活動で水が無くなることはありません 受水槽を消火用の防火水槽として使用するには施設管理者の同意が必要です

 貯水槽施設の活用 

皆さんのまわりには、たくさんの貯水槽施設があります
厚生労働省の平成17年度集計によると

全国には 簡易専用水道施設が    210,913基
     小規模貯水槽水道施設が  888,469基 あります

これらの施設を地震災害時に使用することは行政機関が機能をするまでの約一週間の飲料水の確保に
役立ちます
厚生労働省の報告書において、平成16年10月23日に発生した中越地震の震災で残った受水槽が給水拠点として活用されたことが報告されています
新潟県の検査機関はオーバーフロー管や水抜き管の排水口空間の取り扱いについて、災害時に活用するため施設の検査時に助言してきたそうです

貯水槽のスロッシング対策

地震の揺れにより水槽内部の水が共振する現象があります 時にはその水は水槽を破壊します
大切な貯水槽のスロッシング対策としての次のことに注意する必要があります

1.装置自身が地震により壊れないこと
2.構造が簡単で清掃が容易であること
3.簡易専用水道検査機関に設置が了承されていること
4.装置の材質はステンレス製であること

以上の注意事項を検討した結果、次の様な案があります
ただし、設置に関しては自己責任によって実施してください
現在時点では、貯水槽の共振防止対策の法律がありません


 ステンレス製のU字溝による液体の共振防止案
U字溝はステンレス製で、高さ40cm・幅40cm・長さ120cmの物を使用します
設置方法はU字溝を水面下2~3cmほどに沈めた状態にします
水面より上部に設置すると雑菌が繁殖します(雑菌は水と空気が接する場所が多く繁殖)
水の中であれば残留塩素により滅菌され衛生的ですので 水槽内部側面の上部水面下に設置します
4つの側面に設置してください
1・2号貯水槽がある場合はそれぞれ設置してください
U字溝を2~5個設置する場合はU字溝の間隔を60cmほど開けてください
また、U字溝は点検口やボールタップ、電極の邪魔にならないように設置してください


U字溝の設置基数及びサイズは貯水槽の規模によります 貯水槽ごとに計算する必要があります
U字溝の原理及び効果は波消しブロックと同じです。揺れのエネルギーが吸収されます
この方法だと既存の貯水槽に設置が可能です
この方法は可燃性の液体タンクには絶対に使用してはいけません(静電気で引火爆発します)
あくまで不燃性の液体、水のみに使用してください


エコ環境ネットの技術資料より抜粋しました 以下の技術資料は他のサイトへの転記は禁止します

< 技術資料 NO-1118>