CQステーションネットワーク

 


災害時のCQステーションネットワーク運用マニュアル

はじめに
CQステーションネットワークは 航空管制システムを参考に作られています
航空管制は高度な情報共有化が不可欠な業務です 6人の航空管制官の無線誘導により、安全かつスピーディーに航空機の離陸や着陸誘導を行っています
そして、6人の航空管制官は担当業務がそれぞれ決まっているため自分の業務が終了すると ハンドオフ(管制移管)により担当業務を移管します

一人ですべての業務をするのではなく、チームとして役割分担をしたらどうでしょうか
自分はここまでの業務としたほうが、精神的にも楽になるのではないでしょうか
つまり、業務の助け合いです

航空管制の業務ほどの高度な無線技術は要求されませんが、無線機により安全を確保する意味で、アマチュア無線を活用し災害時に協力できないかと考えました
地震災害のような広域災害時の緊急情報収集の1つと考えてください
この方法の他にいろいろなアイデアを出してみてはどうでしょうか

CQステーションネットワークは20年前にテスト運用が実施されています
今回はその実績を基に見直しをしてまいりました

1)目的

災害時には多くの情報が行き交います 現在では通信手段がいろいろありますが、いざという時に役立つのがアマチュア無線です
アマチュア無線機(ハンディー機・モービル機・固定機)は東海地区には数多く出回っていて災害時にはとても役に立つのではないかと思います

東海地区には現在約5万人のアマチュア無線局が開局しています
20年前には約10万人のアマチュア無線局が開局していました
したがって、約5万台の無線機が使用されないでいます

地域や組織の違いに関わらず 困っている人を助けるためのアマチュア無線の活用方法を推進するものです
行政機関が情報ネットワークを構築するまでの間にいろいろな情報を収集して各部署への伝達や交信の記録を保存することを目的とします
活動期間はおおむね7日とします(ただし行政機関の要請があれば活動期間を延長することができます)

2) CQステーションネットワークの構築

CQステーションネットワークはキー局とサブ局で構築され 構築所要時間は約2時間とします
使用周波数は433.000メイン周波数付近とする 433.500付近は使用を控えること
災害時にはキー局はCQステーションネットワークの構築を開始してサブ局を10局集め その際サブ局どうしのRSレポートも確認します
(キー局1人 サブ局10人の合計11人のCQステーションネットワークが構築されます)

同様に4組のCQステーションネットワークの構築を開始します(キー局が4人が集まらない場合は、サブ局より選出します)

このようにしてキー局5人、サブ局50人、使用周波数は5個の巨大なCQステーションネットワークが構築されます
クラブ局に属さないメンバーによるネットワークです
キー局はお互いに協力し合い、情報の共有を最優先にします(サブ局とも情報の共有をします)
CQステーションネットワークを構築中に緊急連絡を受信した場合は 行政機関に連絡を取るように努力します
場合によっては他のキー局にも協力を要請します
特に人命に関わる情報は速やかに行政機関に緊急連絡情報を送ってください

3) 5人のキー局と担当業務

  キー局1) 救急 ・ 火災
  キー局2) 水 ・ 食料 ・ 毛布
  キー局3) 生き埋め情報
  キー局4) 道路の異常情報
  キー局5) 物資輸送

5人のキー局はエリアの広範囲を受信できることが望ましい
できれば東西南北に散らばる配置が望ましい
1Wで100Kmまで交信できるとしても、受信できない区域が必ず発生します
障害物や地形の影響が最小限に抑えられます

キー局の役割分担は2~3日以降が望ましい
役割分担のタイミングはその場の状況により判断すべきである

* 初期の段階では、キー局1からキー局5は救急・火災・生き埋め情報を優先する

4) サブ局の役割

サブ局はキー局をサポートします
またサブ局はキー局の代理を勤めることもあります
サブ局は周囲の弱電波に注意をはらいながら 必要に応じて情報を収集してキー局に連絡します

5) CQステーションネットワークでの情報収集開始

CQステーションネットワークが構築されれば「こちらはキー局の〇〇2△△△です 只今、緊急情報を受信中です」と交信を開始します
使用周波数は433.00MHz付近とします

受信情報の内容は以下のものとする。
 1.情報連絡者(コールサインまたはフルネーム)
 2.避難場所の住所(DVモードでGPS情報が分かれば送ってもらう)
 3.避難場所の名称
 4.無線機の種類(ハンディー機・モービル機・固定機)
 5.無線機の出力(W)とRSレポート及び予備バッテリーの有無
 6.用件の分類(A救急・火災 B水・食料・毛布 C生き埋め情報 D道路の異常 E物資輸送)
 7.用件の内容
 8.情報を受信した年月日と時間及び識別番号(例:GF0001)
 9.受信の担当者名(コールサインまたはフルネーム)

10.行政機関との交信連絡、年月日と時間
11.行政機関の交信担当者名(コールサインまたはフルネーム)

12.情報連絡者への連絡、年月日と時間及び識別番号(例:HGF0001 Hは返信記号)

※注意1)クラブのコールサインがあってもできるだけ個人のコールサインまたはフルネームを使用すること
 (情報元が後で特定できなくなるため)

6) 交信妨害された場合の対処方法(無変調送信による交信妨害)

 1.キー局はGPアンテナからビームアンテナに切り替えます(反射波を受信する)
 2.発信源に近いサブ局に、情報の受信をサポートしてもらいます
 3.キー局はサブ局にビームアンテナを向けて情報を受信します
 4.交信妨害対策として、15エレスタックのビームアンテナを準備して置くと良いです
 5.キー局は情報連絡者にビームアンテナを使うか、サブ局に送受信のサポートをしてもらいます
 6.パイルアップの対応方法
   1 - パイルアップ宣言
   2 - 生年月日の月ごとにコールサインまたはフルネームを送信してもらうこと
     用件の種類と無線機の種類も送ってもらうこと
   3 - リストアップが終了したら用件の種類ごとに交信相手の順番を決める
     人命に関わる緊急性が高い用件が多い場合は、他のキー局に交信を依頼する
    パイルアップした交信相手には必ず順番を送信すること
    自分の番が来るまで電源をOFFにしてもらうためである

7) 各市町村や行政機関より情報伝達の依頼があった場合

 依頼があれば対応します
 他のキー局にも各市町村や行政機関より情報伝達の依頼があったことを連絡します

8) 電源の確保

 電源確保では、ソーラー発電が電力供給や騒音の面で優れています
 (避難所での自家発電機の使用は騒音に対して配慮が必要です 夜間はバッテリーに切り替える)
 雨が続くと、バックアップ電源が必要になります
 そこで、当局は20W及び100Wの太陽光発電機を使用しています
 まずはそれぞれのバッテリーに1台づつ接続して充電状態にします
 バッテリーの合計は4台です
  一台のバッテリーを使用する時は充電しながら運用します
  ★晴れの時は
   出力電力:1~10W
   入力電力:20W
   常時充電されている状態です
  ★曇りの時は
   出力電力:1~10W
   入力電力:10W以下
   常時充電されている状態です
   昨年度に実験済みです
  ★雨天の時は
   出力電力:1~10W
   入力電力:5W以下
   常時充電不足の状態です

  ただし出力電力が1Wであれば、充電されている状態です
  必要に応じて2台目の充電済みのバッテリーでバックアップします
  これはあくまでも20Wのソーラーパネルの目安です
  当局は、最悪の状態を考えて他に2台(雨天用)の予備バッテリーがあります
  晴天時に100Wのソーラーパネルにより予備バッテリーを充電します

  1台の無線機に合計4台のバッテリーを装備すると良いでしょう
  原則、出力1W運用が多いと思いますので 昼夜ともに電力は確保できると思います

9)騒音対策

 無線機からの音声は指向性の高い外部スピ-カー及びヘッドホーンを使用します
 ソーラー発電での電源確保は騒音の面でも優れています

10) 人命優先の活動

 CQステーションネットワークの運用マニュアルに記載していない項目は、人命最優先にしてその場で考えましょう
  ケース by ケースとして行動します
 ただし、アマチュア無線局のため各自の自由を束縛してはいけません
 あくまでもボランティアです

 

東日本大震災の際 総務省からJARLへの要請
「被災地の通信確保のためのアマチュア局の積極的活用について」

 2011年3月11日に起こった東日本大震災の際、JARLには総務省から被災地の通信確保のためのアマチュア局の積極活用について3月13日付けで協力要請がありました
 非常災害に際して、被災地近辺に所在するJARL会員に対して善意による協力を要請されたものです


日本アマチュア無線連盟 がんばろう!東北のページ

 

 


11)CQステーションネットワークの運用設備例
 ロケーションの良い場所を選ぶこと( 標高175m )
 山頂は約300mありますので ちょうど山の中腹にあたります
 中継基地局を設置するには素晴らしい場所です
 
 ただし、山頂のように360°見えるような場所はGPは使用しないでください
 受信エリアが広すぎて混信に悩まされます
 山の中腹など後ろに障害物(山の斜面や建物)があるとよい

 山頂のように360°見渡せる場所は5エレのビームアンテナを使用するとよい
 < 例 >
 1、RY430M5  1台
 2、1mまたは5mのM型コネクター延長ケーブル   1本
 3、ハンディー無線機を使用する場合1mのは変換コネクターケーブル  1本



 Ⅹ700H 超高利得GP 全長:7.2m 利得:13.0㏈i
 マストを含めると先端まで約10mにもなります
 イメージは ちょうど電柱の横に車を並べた様な感じです
 出力1Wで約100km先のハンディー無線局との交信が可能です



 ⅭA 2Χ4 MAX  超高利得GP 全長:5.4m 利得:11.9㏈i
 現在のコメット製 GP9Ⅿ の前の型です



 15エレ スタックビームアンテナ  利得:16.8㏈i
 出力1wで約150km先の無線局と交信可能です
 指向性があり混信にとても強いアンテナです



 太陽光発電設備(ソーラーパネルシステム)です
 当局は 5W,20W、100Wのソーラーパネルを用意しています
 騒音も無く避難所での運用にも適しています
 (自家発電機は夜間の騒音で苦情がきます)



 左)ソーラー チャージ コントローラー(USB端子2個付き)
    スマホにも給電することができます
 右)昇圧機器(12.9Ⅴをアマチュア無線機の13.8Ⅴに昇圧します)
   無線機を最適な状態で使用できます



 20Wのソーラーパネルです
 小型で持ち運びに便利です



 100Wのソーラーパネルは出力に余裕があります
 必要があればハイパワー無線機(出力50W)の運用を可能にします
 ソーラーパネル自体が大きいので運ぶのに苦労します
 タイヤの付いた運搬用ケースを活用すると良いでしょう
 4台のバッテリーを同時に充電することができます



< アマチュア無線を愛する方へ >

CQステーションネットワーク運用は地震災害時の緊急通信ネットワーク構築の一つです
短時間で構築できるメリットがあります
キー局やサブ局は不特定多数のアマチュア無線局です

このマニュアルは20年前に当局が実験的に運用した実績により、さらに改良して作成しました
20年前の実験データがあるため 比較検証に重点を置きました

今回マニュアルを作成して公表したのは、キー局やサブ局が不特定多数の局だからです
行政機関が知らない無線局に対して 信頼して対応してくれるかが疑問です

また、災害時に当局がキー局として運用できる可能性が低いことも理由です
平日は当局には仕事がありますので自宅にいません
今までは東海地震は予知できるという見解が 現在では予知不可能になっています
災害時に自宅に帰るのには時間がかかります
予知ができないため自宅に待機することができません
地震が発生してから行動することになります
準備に何時間かかるか分かりません

行政機関は不特定多数のアマチュア無線局からの情報を「はいそうですか」と受理してくれません
法律の位置づけや行政機関の防災マニュアルに記載されていないからです
国からJARLに要請通知文を頂いていますが、協力内容や方法が詳しく記載されていません
アマチュア無線局が混乱するのも無理はありません

そこで、CQステーションネットワーク運用のマニュアルを作成すると共に20年前の運用実績を公開しました
1、文章化された運用マニュアルがあること(公開されていること)
2、運用マニュアルには実績があること
これによりアマチュア無線局の情報提供の理由が公に認められます
つまり情報を受理して頂ける可能性がでてきます
中には情報を拒否する行政機関もありますので注意してください

 < 運用方法の検証 >
 運用方法の検証には時間がかかります 手順は次のようになります
 1、現状の分析
 2、解決するための提案及び公開
 3、提案による実施及びデータの収集
 4、提案による実施の分析及び評価
 5、修正提案の作成
 6、2、へ
 7、提案による実績検証は 最低3~5年は必要です
 当局は20年前を含めると、約5年間の検証実績があります


< 無線設備の管理方法 >
無線設備の管理には出力を可変して送信場所が公開されているGP及びモービルアンテナから送信される基準電波を活用しましょう
ビームアンテナは使用してはいけません
指向性がでるため電波の強さが分かりません

例1    20Wから0.1Wの出力可変運用
無線機 : ヤエス   FT-7900  出力は 20W・  10W・   5W・   1W
      アイコム  ID-31    出力は  5W・ 2.5W・ 0.5W・ 0.1w¥W
アンテナ: X700H 、GP9Ⅿ 、CA2×4MAX 、ⅹ520Ⅿ 、X7000 など
超高利得GPアンテナからの基準電波を活用する
受信する無線局は無線機のSメーターの変化を見て、直接波か反射波を判断することになります
結果を記録すれば1つの物差しになりますし、他に応用ができます
実験データによると、出力が1W以下になると反射波の場合は電波の減衰が激しくなります
0.1Wは受信が難しいでしょう

東西南北の方向からのデータがそろえば障害物の影響が分かります
参考までに ヤエス VX-6を活用すると0.05Wでの伝搬実験が可能となります
固定無線機やモービル無線機が無いから自分はアマチュア無線を楽しめないんだと思わないで下さい
5Wしか出ないハンディー無線機ではダメだなんて思わないで下さい
5Wも出る無線機だと考えてください

災害時は5Wの出力はできるだけ控えて下さい
バッテリーの消耗が激しく すぐに使用できなくなります
また、発熱により送信回路が遮断されます
受信回路は作動します

ハンディー無線機を超高利得アンテナに接続すれば 1Wで100Kmの方と交信できます
低出力のハンディー無線機は伝搬実験には大変有効です
是非活用して下さい

例えば基準電波の10WでRSレポートが56としましょう
他のCQ局と交信した時にRSレポートが56だった場合、相手局(モービルアンテナ使用)の出力が35Wであれば25W分の電波が減衰していることになります
また、直接波ではなく反射波を受信していることが分かります
しかも障害物が大きいことも想定できます
これが基準電波の活用例です

常置場所の伝搬状況を理解することは災害時の交信に役立ちます
必要最低限度の出力で交信する手段を見つければいいのですから
当局と同じ超高利得GPアンテナを活用すれば、30km離れた場所でも直接波0.1Wが59となります
無線機が悪いのではなく、アンテナの性能が悪いのです


< 自衛隊のパイロットからのお願いがありましたので記載しました >
ヘリコプターのパイロットは他県から来ています
パイロットには土地勘がありません
救援ポイントは北緯・東経の位置情報を同時に送信してください

例「〇〇市、〇〇小学校、北緯・東経、救援物資及び医薬品」

また、ヘリコプターが近くに来ても関係のない人は手を振らないでください
着陸ポイントの確認に時間がかかるためです

着陸の判断はパイロットにまかせてください
自分勝手な判断や行動より 相手の立場に立って物事を判断してください
ご協力をお願いします


 < 熱中症対策 >
今回、災害ボランティアに参加して思ったことは
気温39℃は過酷な温度であること
熱中症対策には「空調服」を活用すると良いでしょう
1、水分
2、塩分
3、日陰でこまめに休憩をとる
4、空調服を着る
重症化にならないように注意してください
どうしても気分が悪い場合は、救急車の手配も忘れずにしてください


 < 開局したばかりの無線局の局長さんへ >
アマチュア無線は本に書いてあることだけでは運用できません
屋内だけでなく屋外に飛び出しCQを出すことをお勧めします
より多くの経験をすると良いでしょう
アマチュア無線は不特定の方と交信を楽しむものです
時には辛い思いをすることがあると思います そんな時は信頼できそうなOMとお話しを楽しんではどうでしょうか
信頼できるOMといっても
1、あまり気をつかわなくてもいい人
2、自然にお話しができる人
3、技術的にアドバイスをしてくれる人
4、自分の考え方によく似ている人
ではないでしょうか
もっとアマチュア無線を楽しんでください

現在使用しているコールサインを大切にしてください
5年後に免許更新されることを希望します
これ以上無線局が減少するのは当局としては大変淋しく思います
430MHz帯での交信が 20年前のように にぎやかになることを希望します
当局は 新しく開局した無線局を応援します


 < 新年に向けて >
多くの方がこのサイトにきていただき ありがとうございまた
平成30年は1000人以上の方が CQステーションネットワークに興味をもっていただきました
地震災害は決して歓迎されるものではないのですが 備えは必要ではないでしょうか
各市町村の防災に協力しているアマチュア無線局メンバーは ほとんどがクラブ局です
クラブ局は年々高齢化と人数の減少が続いています クラブ局6名のところもあります
CQステーションネットワークは運用可能な方法の一例に過ぎません
新し運用可能な方法がOM局より たくさん提案されることを希望します
現在、他に運用可能な提案がない限り 31年もこのサイトを閲覧されることを希望します


 < 移動運用のビームアンテナ >
ラディックス製 (RadiX製)
ガンマ・マッチを採用しています

RY-430M5 (430MHz  5エレ)  7695円(税込み)

利得    : 11.0㏈i
コネクター : M - J
ブーム長  : 720㎜
回転半径  : 660㎜
重量    : 0.5㎏
受風面積  : 0.02㎟
耐風速   : 40m/sec

 

 



 < 変換ケーブル及び中継ケーブル >
SMAP-MJ 1m 変換ケーブル      2270円(税込み)

 

 

 



コメット製
MM-100 5D100㎝ MPMP 中継ケーブル
                       1440円(税込み)

 


あとは ハンディー無線機と カメラの三脚が必要です